本講義の目的は、入門および中級レベルのコーポレートファイナンス(経営財務論)を解説することにある。コーポレートファイナンスの課題は企業の財務意思決定を分析することである。ここでいう財務意思決定は、具体的にたとえば、(1)株式発行、社債発行あるいは伝統的な金融機関借り入れのいずれで資金を調達するか、(2)企業利益のどれだけを株主に配当するべきか、(3)工場建設等の投資決定はどのように行うべきか、などの意思決定である。1980年代前半から進められてきた金融の自由化・国際化は、資金を調達・運用する企業の財務意思決定を複雑化させていた。複雑化された財務意思決定を分析するための枠組みを受講者が理解してもらうことが本講義の目標である。
本講義は前半において、株式会社における財務意思決定の問題を指摘上で、企業財務の基礎理論を確認し、財務意思決定の目的と投資価値の計算原理、リスクの計測、および基礎理論の中で最も重要な概念である資本コストについて説明する。また後半において、株式会社の財務戦略という観点から、最適資本構成論、最適配当政策論、合併・買収の戦略等を講義する。 |