【教員レポート】郷道 博宣 教授 ・・・ テーマ「顧客価値」

お知らせ

2012年08月24日

事業創造大学院大学では、大学院と社会を結ぶ広報誌「J Press」を通じて
より多くの方々に、本学専任教員の大学院での教育活動や取り組みなどを
ご紹介しております。

 

今回は、「通巻28号」で掲載された郷道博宣教授についてお伝えします。

 

 

郷道 博宣 教授

 

担当科目: 技術経営論、演習Ⅰ・Ⅱ

 

 

【プロフィール】

 

東京大学工学部~スタンフォード大学工学部機械工学科修士課程修了

 

ソニー(株)ビデオ第一事業部長などを歴任~独立行政法人日本貿易振興機構アドバイザー
コンスーマー用、業務用、放送用VTR及びビデオ関連機器の開発・設計及び
そのプロジェクトの推進、その他ハイビジョン機器等の技術開発・推進に携わる。

 

 

【ピックアップテーマ】 『 顧客価値 』

 

アップルとコマツ、業種は異なるものの両社に共通しているのは、
CEOのリーダーシップによる好業績であり(注1)、その商品力の強さである。

 

アップルのiPhoneなどの商品にあるものは、驚きや楽しみ、ワクワク感といった
「エクスペリエンス(体験)!」である。

 

ハードウェアからソフトウェア、コンテンツ、マーケティングに到るまで統合し、
顧客ニーズの半歩先をいく顧客体験を提供して差別化している。(注2)

 

コマツは、従来品質や耐久性を高めることにより対応してきた建機に
KOMTRAX(機械稼動管理システム)を装備して、顧客の使用状態を
常にモニターし、サポートを提供する新たな価値を提案した。

 

また能力的にはほぼ同等の既存機種と比べて、1.5倍ぐらいの価格だが
燃費効率の良いハイブリッド建機は燃料費節約のニーズが高い中国で売れている。

 

いずれも顧客がより大きな経済的価値を享受できるような提案をし、
「コマツでないと困る」度合いを高めるサービスを提供している。(注3)

 

両社とも、モノそのものではなく、それを通して顧客が得られる体験価値や
経済的価値を重視したことであり、かつて世界のベストセラーになった
本田のスーパーカブやソニーのウォークマンも同様である。

 

しかし、一般的に、日本の製造業各社は顧客重視の姿勢は示すものの、
横並びでハードウェア、機能志向の視点で製品・サービスを開発することから
抜け切れない為、差別化が出来ずに価格競争に陥って、利益を上げらない状況にある。

 

画期的な新製品を開発・上市するのが容易でない今日、顧客側の視点を徹底的に磨き上げ、
顧客価値をどのように高めるかが非常に重要なテーマになっている。

 

注1)
国際的ビジネススクール、INSEADが世界のCEOを対象に経営成果を比較・評価。
第1位はアップルのスティーブ・ジョブズ、日本の第1位はコマツの坂根正弘会長。
「世界のCEOベスト50」(M.T.Hansen/H.Ibarra/U.Peyer, Diamond Harvard Business Review May 2010)

 

注2)
「スティーブ・ジョブズ(Ⅰ・Ⅱ)」(ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳、講談社)

 

注3)
「ダントツ経営」(坂根正弘著、日本経済新聞社)

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