事業創造大学院大学

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お知らせ

2008.01.08

ベトナム市場先発参入優位(准教授 富山栄子)

事業創造大学院大学
准教授 富山栄子

2007年11月にベトナムで日本留学フェアがあり、初めてベトナムを訪問しました。道路はいたるところ二輪車の洪水。その9割は「ホンダ」ブランドだそうです。ちなみに、ベトナム語では「ホンダ」は「バイク」の意味だそうです。若い女性も顔一面マスクをして颯爽と皆、ライダー。後発組の「ヤマハ」は一向に追いつけないそうです。
日本企業によるベトナム進出は1995年頃から始まりました。中国一極集中への懸念などからベトナムへの注目度が高まっています。輸出拠点から国内市場を狙う動きも見られます。エースコックは日本市場では太刀打ちできないので、いち早くベトナム市場に目を向けました。ベトナムでは大変おいしい「フォー」(ベトナム風肉野菜入り麺)を食べましたが、エースコックの即席麺の投入がベトナムで大ヒット。現在ではエースコックはベトナムの即席麺市場で6割のシェアを握っています。
 ホンダとエースコックのベトナム市場参入の事例は先発優位(新市場に早期参入することで持つことができる優位性)の良い事例だといえます。ホンダの場合、最初に参入したことで、その製品カテゴリー(二輪車)の代名詞となり、後発に対して心理的な参入障壁を形成することができました。 しかし、参入当初は、流通網が整備されていなかったでしょうから、チャネル戦略や、価値を伝えるための宣伝広告費も膨大にかかったと思われます。
 それでは後から参入したい企業はどうしたらいいのでしょうか?後発企業は「後発優位」があります。既に先発企業が市場を構築してくれているので、宣伝広告では、ブランド訴求をすればいいわけですから、独自の開発による目新しさや新たな価値を訴求することで先発企業の市場を奪取できます。さらに流通網は先発企業の参入時よりも整備されていますので、より少ない投資で販売することが可能なはずです。つまり、後発企業は現地の消費者に新たな価値の創出と訴求が求められているのです。今後、ホンダやエースコックはこのまま先発優位を生かし市場シェアで1位を取り続けることができるのでしょうか? 今後のベトナム市場に注目です。