事業創造大学院大学

2025年4月、事業創造大学院大学は
開志創造大学(仮称)へ名称変更予定です。

お知らせ

2010.08.23

AVEDAに学ぶCSR活動(教授 富山栄子)

大学院の前期の授業がやっと終わりました。国際学会&調査で、2回も休講にしてしまいましたので、その分の補講がお盆明けとなってしまいました。聴講していただいた院生の皆さん、半年間お付き合いくださいまして、本当にありがとうございました!!

さて、15回目の最後の講義では、「AVEDAに学ぶCSR活動」の事例について取り上げました。

CSR(Corporate Social Responsibility)は、「企業の社会的責任」であり、企業経営の活動プロセスに社会的公正性や倫理性、環境や人権などへの配慮を組み込み、ステイクホルダー(株主、従業員、顧客、環境、コミュニティなど)にアカウンタビリティ(説明責任)を明確にすること。その結果、経済的・社会的・環境的パフォーマンスの向上を目指すことです。

CSR活動の3つの次元として、

1.経営活動のあり方 ― 経営活動のプロセスに社会的公正性・倫理性、環境への配慮の組み込み(CSRマネジメントの中核):環境対策、人権問題など

2.社会的事業 ― 社会的商品・サービス、社会的事業の開発(社会的ニーズを受ける):地域再開発、フェアトレードなど

3.社会貢献活動 ― 企業の経営資源を活用したコミュニティへの支援活動(フィランソロピー活動(慈善活動、寄附行為)):金銭的寄与などの社会貢献、非金銭的社会貢献、企業市民の役割など。

があります。

AVEDAは、アメリカの化粧品会社で、『環境に対するリーダーシップ』として「エネルギーの節減」「倫理的な原材料の調達」「アースデー月間の活動」「環境に配慮したパッケージ」「ムダの削減」などに取組んでいることで世界的に知られています。
「クレイドル トゥ クレイドル(ゆりかごからゆりかごへ)」の企業認証と製品認証ゴールド基準を取得し、化粧品会社として初めて100%風力発電による製品の製造、再生可能なパッケージの採用、オーガニック農法の支援等を達成しました。
毎年4月に「環境保全」のテーマを設け啓蒙活動を実施し、ブランドとして、全額募金に回すキャンドルを発売するほか、各国、各サロンで施術代金の一部を募金にまわすヘアカットやスパ、ラッフル(慈善目的くじ)も行っています。
募金は、当該年のブランドの環境NGOパートナー(2009年はグローバル・グリーン・グランツ・ファンド)と、各国でローカルの環境NGOパートナーに寄付し、活動の結果を店頭やウェブなどで公開。募金活動の他に、環境保全・きれいな水をテーマにした、スカベンジ(ゴミ拾い)&ワークショップイベントなども開催し、スタッフおよびお客様への環境保全への啓蒙活動も行っています。
さらに、フェアトレードによって、アフリカなどの発展途上国の人たちの暮らしを積極的に応援している企業であることが、化粧品会社の差別化にもつながっています。

AVEDAに学ぶべき点は、こうした環境活動が費用対効果の高いブランディング手段となっている点です。自社からメッセージを発信することで、安く、正確に情報が伝わり、長期にわたるブランディングが可能となり、経営姿勢を詳しく社内外に伝えることができています。

環境に積極的に取り組んでいる会社は従業員にも優しい!たとえば、台湾の留学生Sさんの報告では、台湾AVEDAでは、従業員に優しいので、「休みが多い!」とのことでした。AVEDA本社を視察してきた聴講生のZさんによると、AVEDAの本社では、従業員が仕事で疲れたときにリラックスできるように、ヨガの先生が常時いて、社員らはそこで、いつでもヨガができる。社内に保育園があるとのことでした。

AVEDAは、WEBサイトや雑誌などでの広報活動で、自社のエコ活動や各種取り組みを紹介しています。化学薬品を使用せず天然素材で製造していること、リサイクルできる包装材へのこだわり・・・。そして、多くの女性雑誌に紹介されるほどの人気化粧品になっています。

また、「エコ通勤手当」の取り組みとして、乗り合いで通勤することを奨励することで、環境に配慮し、社員の環境意識をも高めています。

このように、AVEDAは、環境活動をはじめとするCSR活動の自社の取り組みをわかりやすく、しっかりアピールすることで、費用対効果の高い企業ブランディングを可能にしています。

できることから社会貢献をはじめ、どんどん広報していくことは、ファンを増やしていくための「ブランディング」として有効ではないでしょうか。