トヨタ自動車本社(愛知県豊田市トヨタ町)調査報告(教授 富山栄子)

2011年03月04日

3月1日、トヨタ自動車本社(愛知県豊田市トヨタ町)へ新興国インド市場向け戦略車「エティオス」に関するヒアリング調査に京都大学塩地先生、東京都立大学井上先生と一緒に行ってきました。

 null null

  

一言でいえば、新興国・インド市場に取り組むトヨタの姿勢はこれまでになく画期的であり、感服・感動しました!

これまでトヨタといえば、新興国では、その国のお金持ち向けのニッチな市場をターゲットにして攻略してきましたが、今回のエティオスの投入で、新興国のポテンシャルのあるボリュームゾーンというメイン市場へ真っ向から挑戦することになります。

トヨタの太陽のように明るい岡部聰専務のご説明によれば、

「これまでのトヨタの車は日本や欧米を中心に商品企画ができていた。いつも日本にR&Dの拠点があって、商品企画があり、それを現地で再現するコピー車であった。しかし、先進国で評価される機能はインドでは評価されない。インド市場向け「エティオス」は基本的な機能をスタート時点にして、自動車に、何がいるのか加えていった。・・・・インドで重要な機能は何なのか?どこまで落とすか。落とせるところは落としていった。しかし、走る、回る、止まる、耐久品質では妥協せず、QDRがダメージを受けないようにした。インド人が大切にしたい品質と妥協できるのかどうか、見極めをやっていった。」

そして、カローラの半額以下の車を作るという目標を掲げ、例外なく、全部品をゼロから考え直してコストを半減させることに成功しました。そのために、どんどんと現地の部品メーカーを開拓していきました。

実際に「エティオス」の実車も見せていただきました。

 null null

 null null

このようにいたってシンプルです。余計なものは一切ついていません!
オートマではなく、マニュアル車です。インドでは、道路が悪いので、オートマ車はまだ安全上信頼されていないそうです。

また、現地に必要な機能、たとえば、クラクションを大きく鳴らすので、フォンを大きくしたとか、1リットルのペットボトルを回し飲みするので、ペットボトルが置ける場所を7か所も設けたなど、現地ニーズを徹底的に調査し、現地が求める機能を付加・強化してあります。

これまでの、トヨタの新興国での戦略である、高いけれど、品質を重視し、ブランド力と高いサービスで勝負する。富裕層が買ってくれればいいという路線からの大転換と言えます。

「このままではトヨタはだめになる・・・・」
プロジェクトリーダーはそう思って、このプロジェクトを立ち上げたそうです。

新興国の人たちは余計な機能は望んでいない。であるのならば、新興国の人たちが求める品質の車をゼロから開発すればいい!

こうした戦略を社内で通すには、相当の反対があったものと思われます。

しかし、これからの20年を考えれば、成長著しい新興国に真っ向から攻めていく必要があります。それには、より多くの新興国の人たちが、望む品質で、手の届く価格で車を提供できなければ生き残っていくことができません。

今後、この超低価格車開発のノウハウをブラジルやインドネシアでの車へと横展開していくようですが、トヨタの“脱皮”はセンセーショナルであり、これからインド市場をはじめとしてトヨタの新興国での逆転が起きるのではないかと思った次第です。

このページのトップへ