論文「ロシアにおける現代自動車のマーケティング戦略」上梓(教授 富山栄子)

2011年03月09日

環日本海経済研究所のERINA REPORT Vol.98(2011.3)に京都大学の塩地洋教授と共著で論文「ロシアにおける現代自動車のマーケティング戦略」を上梓しました。科研成果の一部です。34~44頁でERINAのホームページからご覧いただけます。

主たる内容は次のようなものです。

本稿では現代自動車のロシア事業を取り上げ、なぜロシアのボリュームゾーンに受け入れられたのか、ロシアの消費層、非消費者層にいかに立ち向かい、どのように販売したのかというメーカーのマーケティングチャネル戦略を中心としたマーケティング戦略、競争優位の源泉、ロシア市場への参入方法と市場拡張方法について、マーケティング戦略の観点から明らかにした。

第一に、ロシアにおいては、ボリュームゾーンに対してLADAなどのロシア国産車よりも品質が良く価格は若干高いというポジショニングが成長の要となった。また、旧モデルを現地企業にライセンシングによるKD生産させることで低価格化を実現した。その際、サプライヤーを組織化し迅速な部品供給を実現したことおよびシベリア鉄道との連携によってロジスティクスのコスト削減など調達、生産、ロジスティクスなどのオペレーションの効率性で差別化したことも低コスト化に寄与した。また、自社のマーケティングチャネル網を通して、現地の人の調査を行い、彼らの嗜好や価値観に適合する製品・サービスを作り出すことに成功した。

第二に、現代自動車は、2チャネル戦略で市場を拡張していった。国産車を取り扱うローカルメーカーのチャネルでは、旧型モデルをライセンシングによって現地でKD生産した現代アクセントを販売し、韓国など現代自動車の世界の工場で生産された輸入車は、自社専用のチャネル網で販売した。ロシアのLADAなど国産車に長年乗っている消費者は購買に際しては、LADAなど国産車を取り扱うディーラーを訪れ、他社の車と比較検討して購買する。その際に、若干高いがはるかに品質のよい外国車、現代アクセントは魅力であった。また、若い世代は市場経済化によって所得があがり、国産車よりも外資系の洗練されたデザインと品質重視でバリュー・フォー・マネーの車を購入するようになった。

第三に、ロシア市場での現代自動車のマーケティング戦略は、ターゲッティングとポジショニング、バリュー・フォー・マネーの商品力、スポーツマーケティングを活用したマーケティングコミュニケーション力、現地人脈とノウハウをもつローカル企業ロルフ社のとの提携や2チャネルで販売するマーケティングチャネル力(営業力)が秀でていた。

第四に、現代自動車のロシアにおける競争優位の源泉は、鄭夢九(チョンモング)会長のコミットメンの下、低価格化の実現と現地適応化など差別化を実現したたえざる製品開発の応用と革新、現地化、効率の良い生産方式の確立、抜群のマーケティング力とそれを支える設計思想にある。

鄭夢九(チョン・モング)会長を助手席に乗せ、プーチン首相がハンドルを握りテストドライブを行った様子はこちらの動画でも見ることができます。

http://www.youtube.com/watch?v=ndUdZvcP_io

このページのトップへ